【 どんころ物語③ 】

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い申し上げます。

木材流通コーディネーター 田代絵美が行く森の体験レポートです。

ある日、役場に届いた荷物。
品名は本・木の器と書いてある。
送り主は旭川の木工作家、瀬戸晋(せとすすむ)さん。

木の器は六月に行われたグリーンウッドマーケットで瀬戸さんの元へ旅に出たハンノキのどんころが拭き漆の茶托として凱旋帰国してきたのでした。旭川の工房で日々、木と向き合いながら木の器や家具などを製作されている瀬戸晋さんが今回のどんころのご主人です。瀬戸さんは大阪生まれ、大学で北海道へ。その後、旭川高等技術専門学院を卒業して一人で木工房を始められました。

小さいころからものづくりが好きだったそうですが、家具や器を作るかたわらご友人の現代美術家の方とのお仕事を通して木工作家の枠を超えた経験をいくつもしてきたそうです。「難しいこともまずはやってみる。それが今に繋がっている」言葉ひとつひとつから経験の深さを感じます。

瀬戸さんの器を初めて見たとき「キラキラしている」と感動したことを憶えています。特徴ある拭き漆の飴色は生漆と呼ばれる透けた漆を塗っては拭き取る工程を繰り返し、その独特な艶と木目が見える仕上がりが特徴です。その宝石のような器は手に取ると独特な丸みが手のひらにフィットして毎日の食卓で特別感と安心感を同時に得られるそんな器です。

今回凱旋帰国したハンノキの茶托も元々は軽い木のはずが瀬戸さんの手にかかるとシックで重厚感のある作品に生まれ変わっていました。今回の作品は料理家の栗原はるみさんがお願いして瀬戸さんに作ってもらった一点とのこと。限定品ですが多くの人に幸せを運んでくれると思います。


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