【 木のはなし 〜 カンバ② 】

木工作家 斎藤綾子のひとりごと。

『カンバ』という名前は、実はカバノキ科カバノキ属の樹木の総称です。そこで、二話目の今回はこの木の種類や呼び名について少し整理をしてみたいと思います。このあたりに生育するカンバ類は、シラカバ、ウダイカンバ、ダケカンバの3種類です。おそらくよく耳にするのは、シラカンバが多いかと思います。シラカンバは3種の中では比較的材が柔らかく、軽い性質があります。樹皮はしなやかで粘りがあるので、細工物に向きます。

その一方で、ウダイカンバは、材が堅く重みがあります。特に、芯材部の桜色の割合が多いものは、『マカバ』、辺材の白い部分が多いものを『メジロ』と呼んで区別されます。ダケカンバは、材は堅くて重みがありますが、樹皮は柔らかく層が剥離しやすいので、細工物をするのはやや難儀です。

カンバ類は交雑しやすいため、これらの種のほか、雑種のものも山の中には生育しています。これら交雑種とダケカンバは、木材業界では、『雑カバ』と呼ばれるそうです。材としての需要が大きいウダイカンバが、『マカバ』や『メジロ』と細分化して呼ばれるのに対して、『雑』という言葉でひとくくりにされていることは、木材業界における扱いの違いというものを感じます。

一言に『カンバ』といっても、実は個性の異なる3種類の木。白い皮に包まれたこの不思議な木について、次回以降も更に詳しくお話します。


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