【 木のはなし 〜 エゾヤマザクラ① 】

【 木のはなし 〜 エゾヤマザクラ① 】

木工作家 斉藤綾子のひとりごと。
KIKORI祭も終わり、穏やかな日々に戻りました中川町です。

昨年の秋に襲来した爆弾低気圧でなぎ倒された、エゾヤマザクラの木を町民の方に頂いたので、今はもっぱらこの木の器加工に取り掛かっておりました。
木が倒れたのは、まだ水分が多い時期ですので、内部の水分が凍れて引き締まってくる年末まで加工に取り掛かるのを待ちました。
凍れた状態で挽くと、繊維質の切れがよく、切削面がきれいに仕上がります。
思わず手で触れるとひんやりしっとりとしていて、とても気持ちがいいです。
材は、芯材(中心部分)が桃色で、辺材(樹皮側の周辺部分)がクリーム色をしており、そのコントラストがとても個性的で目を惹きます。
特に、器として挽くと、曲面の出し方によって、その境目の出方が変化するのです。

また、削るうちに、水分が解け、回転する旋盤の遠心力で樹液が飛び散ります。
あたりには、ほんのり桜餅のような香りが立ち込め、ふと、この香り成分が毒であると聞いて、ショックを受けた経験を思い出しました。
気になったので、改めて調べてみると、この正体は『クマリン』と呼ばれる成分で、確かに長期的に過剰摂取すると肝臓を弱らせるとのこと。

しかしその一方で、芳香にはリラックス効果があるほか、成分的には血液を固まりにくくする作用や、抗菌・抗酸化作用があるということですから、一概に毒であるということではないようです。

身近なようでまだまだ新たな発見のある桜の木ですが、日本人の多くがこの木に対して思い入れのようなものを抱いているという気がいたします。
次回はそんな特別な感情の由縁について考えてみたいと思います。


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