【 木のはなし 〜 イタヤカエデ② 】

【 木のはなし 〜 イタヤカエデ② 】

木工作家 斉藤綾子のひとりごと。

今回は甘い樹液のお話です。
イタヤカエデは、前年の夏に蓄えた澱粉が、春先、土中が暖まってくる頃、幹に吸い上げられた水分と融合します。
その時期に幹をひっかくとそれが樹液として滴るわけです。
イタヤカエデの樹液は甘く、シラカバ樹液よりも希少性があったため、アイヌの人々に珍重されたそうです。

中川町内でも、『NPO法人ECOの声』の方々が毎年樹液の採取をされていて、今年の春先にお手製のシロップを分けて頂きました。ほんのり甘く柔らかい味わいでした。
この甘い水が樹木からもたらされるとは、なんとも神秘的な印象を受けました。

国外においても、樹液の利用が積極的に行われています。
特に、カナダのケベック州が有名な産地で世界の生産量のなんと7割も担っているそうな。
また、韓国も隠れた産地で、特に智異山という地域では、採取した樹液を山神様に奉納し、平安と豊作を祈願するお祭りがあり、その歴史は千年以上もあるそうです。樹液は薬効効果があるとされ、シーズンになると都会から泊まり込みで飲用しにくる人も多いとか。その採液の方法がとても効率化されていて、樹幹に穴を穿ち、ホースを通して液を放出させ、更にそれらをパイプラインで繋いでいるというのです。

こうして山林中に蜘蛛の巣状に張り巡らされたパイプラインを通して集約的に採液されているそうです。
年に一度、厳しい冬が収束し始める限られた時期にもたらされる、天然の甘い薬水。
なんともロマンチックな木と人の繋がりに、キュンと心が躍るのでした。

参考『樹液飲用の文化誌:伝統的利用と技術 予報』(2002)
参考『樹液飲用の文化誌:伝統的利用と技術 予報』(2002)


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