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- 【 木のはなし 〜 シウリザクラ② 】
【 木のはなし 〜 シウリザクラ② 】
【 木のはなし 〜 シウリザクラ② 】
木工作家 斎藤綾子のひとりごと。
シウリザクラ①でお話した『じーちゃんの桜』で器を作ることにしました。頂いた端材は大小様々でしたが、厚みが十センチほどの材がサラダボウルを作るのに最適でした。
材は、木口面に板をあてがい、釘で固定してありました。材が乾燥に伴って割れるのを防ぐために行ったと考えられます。
木口面に和紙を糊で貼りつけたり小さな波板状の金属を打ちこんだりする方法は見たり聞いたりしたことはありましたが、ここまで丁寧に処置してあるものは初めて見ました。
厚く挽いた板なので、念入りに行ったのだとは思いますが、手間暇惜しまず、大切に大切に寝かせるための準備をされていることに、木を愛おしむ気持ちを感じました。
早速、器にするために丸く切り、旋盤にかけます。
乾燥した材はとても硬く、ゴリゴリとした感触に手がしびれます。
鉋屑はぽろぽろと粉のように飛び散り、生木とはまるで別ものです。サンドペーパーのかかりはとても良く、仕上がりはしっとり滑らかです。
『じーちゃん』は、この器に納得してくれるだろうか…挽き終えた器を眺めながら、今は亡きこの木の主に聞いてみたい気持ちが募ります。
オイルで塗装をし、乾かすためにまたしばらく置いておきました。乾き具合を確認するために改めて器を見て驚きました。
僅ながら、器のふちが波打っていたのです。
何十年も寝かせて、十分に乾燥した材とはいえ、これほど厚い板では、まだ水分が残っていたようです。木が動く仕組みは分かっていても、こんなことがあると、木に何か訴えかけられているような不思議な気持ちになるのでした。
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