【 どんころ物語⑤ 】
大丸の催事お礼遅れましたが、ありがとうございました。
木材流通コーディネーター 田代絵美が行く森の体験レポートです。

私の黄色い樹皮は漢方薬に使用される黄檗(オウバク)になる。
表面はデコボコしているがコルク質の肌の下は鮮やかな黄色の肌で、名前は文字通り「キハダ」という。
漢方薬や草木染の原料として有名な私だが、木の器を作るのに乾きやすく・狂いが少ないと好んで使ってくれる作家さんもいる。去年の十二月、雪が降る中川町に私を探しに来た作家さんがいる。その人は旭川で木工作家として活動している瀬戸晋さん。一度中川町に来てくれてケヤマハンノキを素敵な拭き漆の茶托に生まれ変わらせてくれた人だ。

今回瀬戸さんは「キハダの丸太一本をすべて使い切って作品を作る」ことを目的に中川町のキハダを探しに来てくれた。作家と私たちが直接森で出会うことは少ない。普段は板になって、乾燥した私たちを作品にしていることが多い為、立木の私たちを見て樹種が分からない作家さんも多い。しかし、瀬戸さんは立っている私に会いに来た。今回私の元に瀬戸さんを案内してきたのは例の青い服の女性。木と作家さんを結んで丸太になった私たちに新たな価値を見出すことを仕事にしている。

雪が降る板谷の山で育った私は枝先が三つ又に分かれているが故に、本来ならパルプとして紙の原料になる運命だった。瀬戸さんは大空に向かって大きく伸びる枝を見て、私になにか感じてくれたようだ。

丸太になった私は三月頃に瀬戸さんの元へ旅に出る予定だ。三つ又のキハダの旅がこれから始まる。

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